老老介護の現実
クリニックの外来に月に一回通院している85歳の男性がいます。Yさんは奥様との二人暮しです。その奥様は2年前に腎臓の手術をとある大学病院で受けた際に合併症を併発し、以後意識障害が残り、介護が必要な状態になったそうです。
Yさんが毎日の家事を担当。三度の食事は奥様が食べれるようにミキサー食を作り、1~2時間かけて食事介助をし、食べさせてあげているとのことです。洗濯は毎日、掃除は週に一回ぐらい。買物は隣駅に住む娘さんが買ってきて届けてくれるそうです。
Yさん曰く、「若い頃女房にも迷惑かけたので、今恩返しをする番。でも、声をかけても、返事が返ってこないのが寂しい。言葉を介してコミュニケーションをとれないのがとても辛い。」とのいこと。
続いて、「こんな愚痴は娘にも息子にもヘルパーさんにも言わないよ。月に一回ここでだけのことだから聞いてください。正直元気だった妻が急に寝たきりになってしまって、医療不信を感じていることも事実。」ともおっしゃっていました。
85歳で自分のことだけでも大変なのに、寝たきりの奥様の介護をきちんとなさっているのはすごいと思います。でも、実際毎日のこととなれば、我々にはわからない大変な苦労もあるでしょう。
幸い健康診断でYさんには大きな異常は認められませんでした。私は医師として、今後もコミュニケーションを大切にし、少しでも話すことでYさんのストレスが軽減できるように努めていきたいと思っています。
医師たるもの、検査をしたり投薬するのみならず、患者さんとじっくり話すことの大切さを教えられました。まさに、「病気を診ずして、病人を見よ。」ですね。と同時に、こうした老老介護の実態を実感させられました。
| 固定リンク


コメント